【週刊タバコの正体 奥田恭久先生からのメッセージ】

「週刊タバコの正体」700号発行

奥田先生

■700回(2022.03.15)
 2005年4月にスタートした「週刊タバコの正体」が17年間で通算700号を迎えました。創刊した頃は、2002年に受動喫煙の防止が盛り込まれた健康増進法が制定され、全国に先駆けて和歌山県で公立学校敷地内全面禁煙が始まり、2005年2月にはWHOの「たばこ規制に関する世界保健機関枠組み条約(FCTC)」が発効した時代でした。振り返れば、この約20年はタバコ規制対策が大きく前進した期間だったと思います。そんな時代の波に乗せてもらった結果が700号につながったのだと感じています。
 現在の高校生はこの期間に生まれ成長した子供たちなので、タバコに関する正しい知識や認識を持っている若者が多くいるはずです。タバコの正体もそんな若者を世間に輩出する事に貢献できたのではないかと思うのと同時に、高校生の喫煙が激減した現状では、その役割も終わりつつあるようにも思っています。
 一方、タバコ規制対策は前進したとは言えタバコの被害はまだまだ大きく、その対策に奔走している人たちも多くいらっしゃいます。HPを通じて毎週読んで頂いているそんな皆様には、大きな励みをもらっています。ありがとうございます。
 次世代のタバコ対策に向けて、今後も可能な限りタバコの正体を続けていきたいと思います。(奥田恭久)

■祝・週刊タバコの正体700号
奥田先生、700号おめでとうございます。
 500号のお祝いを書いたのが、遠い昔に思えます。というのも、501号の題が「おもてなし」で、東京オリンピック誘致の際の「おもてなし」は受動喫煙をなくし、きれいな空気で外国人をもてなそうと書かれていたからです。コロナの影響で、開催は1年延期され、選手たちはバブルと呼ばれる隔離された環境置かれたわけですが、健康増進法の改正により受動喫煙環境はそれなりに改善されました。
タバコの害を知らしめ、タバコを吸わない事のすばらしさを発信しつづけられています。こうした活動が吸わない高校生を生み出すことで、タバコのない世界を作っていきます。
 教育・小児科分科会も、喫煙防止教育、受動喫煙の見える化で、先生に負けないように努力していきます。(日本禁煙科学会 教育・小児科分科会 野田 隆・牟田 広実)


「週刊タバコの正体」600号発行

■600回(2019.09.17)
 2005年4月の創刊から14年を経過して600話を迎えました。休憩のたびにトイレがタバコの煙で充満していた状況をなんとかしたいとの思いで始めましたが、600回も続ける事になるとは思っていませんでした。
 当初、私自身も含め誰しも「こんなプリントで生徒の喫煙をなくすことなんて、できるわけがない」と感じていましたが、ダメでもともとで教育してみようと考えたわけです。地元の禁煙教育関係者や日本禁煙科学会の皆さんの協力のおかげで、毎週の発行が1年2年と続くうちに、気が付けばトイレの喫煙はなくなりました。そして、このころ社会全体の風潮も禁煙傾向となったことも追い風となり、14年が過ぎていった感じです。
 「タバコをやめさせたい」と思って始めたものの、結果的には「吸い始めさせない」教育が功を奏した形になったと感じています。今後も、一人でも多くタバコを吸わない大人を育てるために続けていきたいと思います。(奥田恭久)


「週刊タバコの正体」500号発行

■500回(2017.03.07)
 創刊から数えて500話となりました。地方の一高校で生徒の喫煙をやめさせたい思いで始めた一枚のプリントでしたが、これだけの回数になるまで続けることになるとは想像していませんでした。しかも、このように日本禁煙科学会のHPを通じて全国に発信させて頂いている事を12年前には夢にも考えていませんでしたが、タバコの害を無くそうと願う多くの人々の思いのおかげだと感じています。僭越ながら読者の皆様に感謝申しあげます。
 現在、タバコを必要としない若者が着実に増加していますが、タバコの害を無くすにはまだまだ大きな課題が残っています。その解決にむけ「タバコの正体」を続けることで少しでもお役に立ちたいと思っています。 (奥田恭久)

■祝・週刊タバコの正体500号
 奥田先生、おめでとうございます。そして、子どもたちに代わって、ありがとうございますとお礼を述べさせていただきたいと思います。よくここまで続けてこられました。2005年4月に第0話「襟裳岬に春を呼べ」以来毎週、毎週号を重ねて、ついにこの日を迎えられたのですね。延べ12年間、よく続けられました。言葉も出ないほどです。
 禁煙は継続するのが難しいとよく言われます。日本禁煙科学会の母体の一つは「禁煙マラソン」です。禁煙の継続をマラソンに例えました。メキシコ五輪で銀メダルを取った君原健二さんの言葉ですが「あともう一本先の電信柱まで走ろう、あともう一本」と心に念じて走ったそうです。「あともう一号、もう一号」と積み重ねてきた「週刊タバコの正体」の偉業は、禁煙継続者の励みになることでしょう。
 教育・小児科分科会も「ほんの少しは0じゃない」積み重ねて、先を行く奥田先生の背中を見失わないようについて行きたいと思います。
 これからも続けられると思いますが、ゴール(タバコのない世界)が来ることを信じて、一緒に走っていきましょう。(日本禁煙科学会 教育・小児科分科会 野田 隆・牟田 広実)


「週刊タバコの正体」400号発行

■400回(2014.10.14)
 2005年4月に第0話「襟裳岬に春を呼べ」(和歌山工業高等学校ホームページ「たばこの正体」のページに収録)でスタートして10年が経ち、400話を迎えました。
 10年前の高校1年生は25才、現在の高校1年生の10年前は幼稚園児だと考えると、やっぱり長いと感じますが、毎週「タバコの正体」を書くことは、毎日の仕事を続けるのと同じように生活の一部になってしまった今では、あまり特別な思いはありません。と言うのも、がんばって書き続けるているのではなく「毎回、読んでくれる人がいるから」書いていると感じています。誰かの役に立てている事がエネルギーとなっているのだと思っています。
 世間はタバコを必要としなくなりつつあります。いずれ「タバコの正体」など必要がない時代がくる事を願っていますが、読んでくれる人がいる間は、今までどおり続けていきたいと思っていますので、これからもよろしくお願いいたします。 (奥田恭久)


「週刊タバコの正体」300号発行

■300回(2012.06.05)
 2005年から発行されてきた「週刊タバコの正体」が通算300号となりました。
 奥田先生からは「7年ちょっと続けているわけですが、始めた頃はこんなに続くとは思っていませんでした。振り返るとアッと言う間だったような感じです。週刊だけに、これはもう習慣になっています・・・・なんて、でも正直な気持ちです。 」という楽しいコメント頂きました。
 これからもずっと続けて頂くことを大いに期待しています。(日本禁煙科学会事務局)



日本禁煙科学会HPへの「週刊タバコの正体」掲載開始にあたって

 私が教師となって和歌山工業高校(和工)に赴任したのは1992年4月でした。その頃職員室には灰皿がありましたし私自身も喫煙者でしたが、妻の妊娠をきっかけに禁煙したのもこの年でした。
 そのちょうど10年後、和歌山県内の全公立学校が敷地内全面禁煙となったのです。生徒児童を受動喫煙から守る事が主な目的でしたが、和工では、肝心の生徒たち自身が喫煙しているケースが多く、毎週のように校内や通学途中で喫煙が発見され、職員会議で報告されていました。

 この状況を「どうにかしたい」という思いで、始めたのが「週刊タバコの正体」の発行でした。
 目的は「喫煙する生徒をなくす」事で、ちゃんとタバコの事を教えてやれば、ひょっとすると「吸っている生徒にタバコをやめさせられる」かも知れないと考えたからです。 誰しもが「たかがプリントでタバコをやめさせられる訳がない」と思ったはずです。私もそう感じてはいましたが「やってみなければわからない。ダメでもともと」と開き直ってスタートしました。

 かくして、2005年4月から毎週1枚ずつ全校生徒に配布を始め、時を経過して"わかったこと"があります。 「かなり多くの生徒たちがタバコを吸っているのではないか」と思い込んでいたのは錯覚で、圧倒的多数の生徒はタバコを吸っていない。そして、そんなタバコを吸っていない生徒が、「タバコの正体」を読むうちにタバコに関してどんどん賢くなり、タバコを吸っていない事に自信を持ち始めた、という事です。

 このことは毎年実施しているアンケートで、「一生、タバコを吸わない」と答えた生徒が77%にも及んでいる事から推測できます。 でも、やっぱり「吸っている生徒をやめさせられない」事もわかりました。そもそも、すでにニコチン依存症になっている生徒は「タバコの正体」を読んでいないと思われます。

 この経験は、当初の目標(「和工から喫煙する生徒をなくす」)とは違う景色を発見させてくれました。
 それは、「今、タバコを吸っていない子どもたちに正しいタバコの知識を伝え教育すれば、確実にタバコを吸わない大人は増えるはず」だと言うことです。だったら、全国の学校でタバコの真実を教育すれば、日本からタバコをなくすことができるかもしれません。

 「やってみなければわからない」ことなので、やり始めるにはそれなりのエネルギーが必要だろうと思います。そんな時、「週刊タバコの正体」が何らかのお役に立てれば幸せです。

2011年11月 
和歌山工業高等学校
産業デザイン科 教諭 奥田恭久