平成19年12月10日

第2回学術総会 ご報告と御礼
 【JASCS通信】2007/12/08配信

会員各位

 

日本禁煙科学会 第2回学術総会会長 高橋裕子

 高橋から、ご報告とお詫びを申し上げます。

 12月1日、2日の2日にわたり、奈良県新公会堂にて開催させていただいた日本禁煙科学会の第二回学術総会は無事に終了しましたことを、心からの感謝とともにご報告申し上げます。

 「大盛況」と評していただける学術総会となりましたが、これは高橋の功績ではなく、参加くださいました先生方おひとりおひとりの成功でありご功績です。

 昨年からの準備作業に協力くださいましたみなさま、演題を出してくださいましたみなさま、そして 当日おいでくださいましたみなさまの、一人ひとりに、厚く御礼申し上げます。

 2日にわたるプログラムを、本科学会の特徴に即して、ごく簡単に報告申し上げます。

 本科学会のひとつの特徴としまして、「幅広い分野からのアプローチ」があります。  
 今回の学術総会で、医療系以外の内容を簡単に紹介しますとまず1日目の冒頭、シンポジウム「スポーツと禁煙」ではタイプの異なる3つのスポーツからそれぞれ卓越したアスリートが登壇され、喫煙によって体力や持久力の低下について経験に基づいて語られました。座長の東山教授(畿央大学・心理学)からは、 喫煙が体力面だけでなくメンタルトレーニング成果と、その結果としての競技成績に大きな影響を及ぼすものであることをお示しいただき、スポーツにおける禁煙の重要性を心理学の面からも確認しました。

 1日目の午後の西村周三教授(京大副学長・経済学)には経済学からの視点と、医学からの視点の差についてとてもわかりやすく教えていただきました。予防医療は費用がかからないと思われがちですが、 そうでなくコストはかかる、しかしそのベネフィットは、治療以後のどの段階よりも大きいとの話は、 私たち予防医療に携わる人間をとても勇気付けてくれるものでした。

 2日目午前の中川利彦弁護士の話は「喫煙の自由があるのに路上喫煙を禁止することができるのかどうか」といった身近な疑問に法的根拠に基づいての的確な反論をお教えいただき、「勇気付けられた」「会社に帰ってさっそくに使います」などの声を頂戴しました。2日目午後の「心理学分科会」とともに立ち見のでる盛況ぶりでした。

 医療分野でももちろん、すばらしいご講演を頂戴しました。市民公開講座の森田明理教授には喫煙でしわが深くなるメカニズムを豊富な実験結果とともにわかりやすく教えていただきました。会場は女性でいっぱいでした。
 オーストラリアのスタントン博士は、海外の状況についてなかなか聞けない詳細な事情も含めてお伝えいただきました。
 中山先生の疫学の話は昨年同様、立ち見の好評ぶりでした。奈良県立医大の木村先生と斎藤先生の喫煙関連疾患についてのシンポジウム「各種疾患における喫煙の影響」や木村教授(奈良県立医大)の「呼吸器疾患と喫煙」も基礎的知識から最先端の研究まで、とてもわかりやすく紹介くださいました。

 座長をお勤めくださいました先生方、ご講演くださいました先生方に厚く感謝申し上げます。

 さて禁煙科学会の特徴の2つめは、「分科会」です。
今回は「職域」「教育1」「教育2」「クリニカルパス・保険診療」「地域・行政」「女性」「大学禁煙化」「未成年喫煙防止」「家庭医療(田坂メモリアル)」「小児1」「小児2」「精神科」「心理学」「薬剤師」「コラボレーション」の15の分科会が、ワークショップ、レクチャー、討議などそれぞれに 特色あるプログラムを組んでくださいました。次年度には「歯科」も分科会として加わっていただけることが今年度の「シンポジウム4歯科」で発表されました。

 本科学会の3つ目の特徴は「充実した講習会の開催」です。
 1997年から提供されてきた禁煙マラソンの社会貢献の一環である全国禁煙アド講習会は、今年度で42回を迎えます。禁煙科学会の講習会はその流れのもと、「禁煙も禁煙支援も楽しく」をモットーに提供していますが、今回も午前中は基礎講習としての知識の吸収を午後には心を動かす一言のワークを実施しました。

 以上、禁煙科学会の3つの特徴に即して、ごくかいつまんでのご紹介を申し上げましたが、なによりすばらしかったのは、70題を超える優秀な一般演題で甲乙なく優秀演題賞を差し上げたいと思うものぞろいでした。

 ここからはお詫びです。
 抄録集は十分に用意したつもりでしたが、1日目に500冊が出払い、二日目に急遽補充しましたが、残部がまったくありません。先のメールで残部があるような記述になっていましたが、お詫びし、訂正させていただきます。
 12月1日夜のワンドリンクパーテイは、新公会堂でもっとも広いレセプションホールを用意しましたが、多数のご参加に、田草先生のメールのとおり「ぎゅうぎゅう詰め状態」でしたことを深くお詫び申し上げます。

 次回、第3回学術総会は、会場でもお伝えしましたとおり、聖路加国際病院の日野原重明先生に会長(名誉会長)として開催いただきます。どうぞ今から、来年の予定をあけておいてください。
   会期:平成20年11月15日(土)16日(日)
   日野原先生のご講演は11月15日(土)です。

   分科会募集 :平成19年12月10日から3月末日予定
   一般演題募集:平成20年4月1日から7月末日予定
    (JASCS通信、KKメール、JASCSのHPにご注意ください)

PS・・・・・・
 今回の学会では、学会運営の中枢部分を禁煙マラソンで禁煙したみなさまが、無償ボランテイアで担当くださいました。総勢50名近くの社会人のみなさんが、連日奈良に泊り込んで早朝から深夜までのボランテイアをしてくださいました。
 学生バイトや当方の研究員を指揮しての学会の裏方作業は、一回の失敗も許されない、気苦労の多い作業も多く含まれていたのですが、終了後に打ち上げに立ち寄りましたところ、全員から「とても楽しかった」「ぜひまたやりましょう」「禁煙してこんな楽しい経験ができるなんて、禁煙していて本当によかった」「来年の手伝いが楽しみです」といった言葉を頂戴しました。
 苦労の多い作業の直後からこんなにポジテイブな言葉が次々と出てくるとはと、禁煙パワーに圧倒される思いで聞きました。


文書名:日本禁煙科学会からのお知らせ等
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