日本禁煙科学会は、故日野原重明先生によって発案され設立された学会です。日野原重明先生は禁煙を科学的に探究し普及することの重要性を強調し、学会名に「科学」の2文字を含めるようにと要望されました。
2006年、日野原重明先生を名誉顧問に、日野原重明先生の愛弟子の吉田修京都大学名誉教授を理事長として「日本禁煙科学会」が設立されました。
日本禁煙科学会の基礎となったのは、1996年に設立された禁煙支援についてのネットワーク(現在の「禁煙健康ネット(KK)」と1999年から「インターネット禁煙マラソン」によって提供されてきた「全国禁煙アドバイザー育成講習会」です。以下にお力添えを頂戴した多くのみなさまへの感謝の気持ちとともに、沿革を記載します。
日本で男性喫煙率がピークを迎えた1960年ごろ、当時、聖路加国際病院の内科医師であった日野原重明先生(日本禁煙科学会名誉顧問)は、禁煙を科学的に探究し普及させることの重要性に気付き、以後講演活動の中でも、禁煙普及を図って来られました。
1996年、禁煙支援を効果的に行なうための情報交換の場として、当時、大和高田市立病院 内科医師であった高橋裕子医師によって、メーリングリスト(ML)「臨床禁煙ネット」がスタートしました。
これに先立つ1994年には、同じ高橋医師によって大和高田市立病院に日本で最初の禁煙外来が設立されています。当時は、まだ医師や医療者が禁煙支援に積極的に携わることが珍しかった時代ですが、中村清稲(現日本禁煙科学会副理事長)をはじめ20人の医師が、高橋医師の呼びかけに応えて「禁煙支援を学ぼう」とMLに参加しました。このMLは2002年、「様々な分野で禁煙支援を志す方々が結集し、禁煙支援についてのスキル向上を目指す場とする」とMLの目的をさらに明確にして「禁煙健康ネット(KK)」へと発展し、2万人を超えるメンバーを有する日本最大の禁煙支援メーリングリストとなっています(2017年現在)
1997年、高橋医師によってインターネット上でメーリングリスト(ML)を活用した禁煙支援プログラム「禁煙マラソン」が提供が始まりました。
当時はインターネット・メールの黎明期でしたが、このプログラムで禁煙した人たちは、禁煙支援者として自分より後で禁煙する人たちの禁煙をサポートする立場になるだけでなく、禁煙マラソンプログラムそのものの運営も行う、大きなボランテイア団体に育ちました。
また、1999年からは、禁煙マラソンの社会貢献として「全国禁煙アドバイザー育成講習会」が提供されました。
当初は、IT技術を利用した禁煙支援プログラム「禁煙マラソン」での禁煙達成者を対象として、次に続く禁煙挑戦者に禁煙支援を効果的に行なう禁煙支援者育成のための講習会として開催されていました。しかし、そのレベルの高さと実践的な内容から、禁煙支援に携わる多くの医療保健従事者や教育行政関係者からの強い参加要望を受けるようになり、第3回(2000年)からは対象の枠を拡大して、禁煙支援に携わる全国の医療者教育関係者等が参加して学ぶことのできる講習会になりました。
以後、全国各地での開催要望が相次ぎ、2005年以後は年間20回を超える講習会を各地で開催し、年間2000人以上の受講者を送り出す日本最大の禁煙支援者講習会に発展しました。2008年には日本禁煙科学会の認定講習会に指定され、禁煙支援の普及に貢献しています。
2003年、未成年喫煙防止研究会(奈良女子大学主催)及び大学禁煙化プロジェクト研究会(主催:奈良女子大学保健管理センター内高橋研究室)の二つの研究会が発足しました。
これらは、未成年や大学生に対する防煙教育を効果的に行なうための媒体の開発研究や各年齢への禁煙支援方法の開発、各教育機関のネットワークづくりによる連携強化、教育機関の敷地内禁煙化等の研究と普及推進を目的に発足したもので、以後2006年までにそれぞれ年1回ずつ計8回開催されました。
以上の講習会と研究会は多くの禁煙支援者を育成し社会に送り出す役割とともに、研究会や講習会の域を超えて分科会や研究発表の場を提供する学術総会に準じた内容を有するなど、禁煙に関する研究推進の役割を果たすものとなりました。
2005年4月、禁煙研究会(事務局:奈良女子大学保健管理センター内高橋裕子研究室)が発足しました。こうして日野原重明先生(聖路加国際病院)の理念を実現すべく、日野原重明先生とその愛弟子で奈良県立医大学長の吉田修学長を中心に、日本禁煙科学会の設立準備が本格的に進められることになりました。 この研究会は、「外来小児科学会(タバコ問題検討会)」など禁煙支援の実践・研究をめざす部門を有する他の学会との共同基盤となるとともに、日本禁煙科学会発足の準備会の役割も担いました。
2006年5月27日、「禁煙支援」と「喫煙防止」に関する科学的研究を深め、さらに多くの社会的責任を果たすことを目的に、日本禁煙科学会が設立されました。
設立に際しては、98名の方々が発起人として参集して下さいました。
発足当初の役員は以下のとおりです。
名誉顧問 日野原重明
理事長 吉田修
副理事長 高橋裕子
『禁煙を科学する―新禁煙時代の幕開け』をメインテーマに京都大学において第1回学術総会が開催されました。(会長:中原俊隆・京都大学教授)
禁煙科学の集大成した禁煙マニュアルとして日本禁煙科学会編「禁煙支援・指導者のための禁煙科学」を刊行しました。
※「禁煙支援・指導者のための禁煙科学」パンフレットを表示
『創ろう!タバコの煙の無い環境を』をメインテーマに奈良県新公会堂(奈良市)において第2回学術総会が開催されました。 (会長:高橋裕子・奈良女子 大学教授)
日本禁煙科学会員のスキルアップ・モチベーションの確保、客観的な評価基準の提供を目的として、日本禁煙科学会による「禁煙支援者認定」制度がスタートしました。
※「禁煙支援者認定」のページを表示
禁煙支援者認定制度の発足に伴い「全国禁煙アドバイザー育成講習会」が日本禁煙科学認定講習会として認定されました。
※「全国禁煙アドバイザー育成講習会」のページを表示
『生き方上手の戦略としての禁煙』をメインテーマに聖路加大学(東京都)において、第3回学術総会が開催されました。 (会長:日野原重明・聖路加国際医療センター理事長)
『たばこのない社会をめざして 〜禁煙は 体にやさしい おもいやり〜』をメインテーマに金沢市(石川県)において、第4回学術総会が開催されました。 (会長:岩城紀男 日本臨床内科医会常任理事)
学会誌「禁煙科学」を年4回から年12回の発刊に変更しました。
※「禁煙科学 2010年概要紹介のページを表示
『阿波の禁煙 〜からだに悪いたばこはやめなそんそん〜』をメインテーマに徳島市(徳島県)において、第5回学術総会が開催されます。 (会長:川島 周 徳島県医師会会長)